建築基準法(目的と構成)

建築 法令

今日は、建築基準法の目的と構成について話をしたいと思います。

建築基準法の目的

(目的)
第一条 この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。

建築基準法第一条に書かれているそもそもの目的です。

当たり前のことじゃないのかと、思ってしまいそのままスルーしてしまいがちですが、

この基本的な考え方が重要だと私は思っています。

国民の一番大事な生命守り、更に健康をそして財産を保護する

そして公共の福祉の増進に資することとは

基本的人権を守りながら社会全体の幸せを追求する

その為に建築基準法は、

建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低基準

を定めているということです。 

どんなにカッコよくても、使い勝手が良かったとしても、斬新な設計でも

国民の生命、健康、財産を守れない建築は、建築ではありません。

逆にクライアントにこのような内容に無理がある要望を出されたとしても

設計者として法律に基づき、明確にお断りができるわけです。

しかもこの基準、あくまで最低基準でありながら、建築に関する法律の基本であります。

実務での様々なケースに対応できる力をつけるために、この基本を正しく理解することが大切です。

建築基準法の構成

構成は大きく下記の分けられます。

1.制度規定・・・建築基準法の用語の意味、手続き、罰則など。

2.実体規定・・・建築物そのものに対しての規定。単体規定と集団規定に分かれる。

① 単体規定・・・個々の建築物の衛生、安全、構造、防火及び設備等の基準を定めており、全国一律に適用される。

② 集団規定・・・都市における建築物の敷地、用途、容積率、建ぺい率等の基準を定めており、原則として、都市計画区域及び準都市計画区域内に限り適用される

大きくは、制度規定と実体規定と2つに分かれます。

制度規定はその名の通り、言葉の意味や、申請等の手続等、直接建物の設計に関わらないことですね。

実体規定は、建物自体の規定であり、その中で単体規定は、建てる建物自身の性能なので全国一律どこに建ててもかかる法律です。

それに対し集団規定は、街づくりの観点からかかる規制のようなもので、行政により街づくりの方向性が指定されている区域において適用される法律です。なので場所によって規制のされ方も様々です。

ちなみに都市計画区域、準都市計画区域というには都市計画法という法律で定められた区域で、私達が住んでいる区域というのはほぼ都市計画区域内になっています。

このあたりは、また別の機会で触れていこうと思います。

そして建築基準法は、大きく7章に分かれます。

制度別にどのような章があるか見ていきましょう。

制度規定

第1章   総則

第3章の2 型式適合認定等

第4章   建築協定

第4章の2 指定資格検定機関等

第4章の3 建築基準法適合判定資格者の登録

第5章   建築審査会

第6章   雑則

第7章   罰則

制度規定は上記のような構成になっています。

特に第1章の総則では

用語の定義・・・建築物、建築設備、耐火構造、延焼の恐れのある部分等 各用語の定義

建築確認・・・建築するときに建築基準法及び建築基準法関係規定に適合するよう確認を受けること

工事検査・・・建築物の工事完了後に、建築基準適合するように検査を受けること

定期報告、工事届等の手続・・・特定行政庁に指定される建築物は、定期的に調査、報告をする。また都道府県知事に行う建築物の届出、除却工事の届出の定めあり

といった内容で、基準法を読み解く上での用語や、建築を行う上での必要な申請関係の内容が盛り込まれています。

実体規定(単体規定)

第2章   建築物の敷地、構造及び建築設備

単体規定は、上記のように第2章のみとなっています。

中身について、何点かピックアップしてみましょう。

・敷地等の道路との関係・・・建築物の敷地の接道義務

構造強度上の安全性・・・構造種別ごとの使用規定、構造計算方法を定めている

防火避難上の安全性・・・耐火、準耐火構造としなければならない特殊建築物、防火区画、直通階段及び避難階段、内装制限、排煙設備、非常用照明等の基準

建築設備・・・換気設備、浄化槽、給排水設備、昇降機等

その他衛星等・・・居室の採光、換気、便所、共同住宅等の遮音構造、階段の幅等

建てる建物自体の最低の基準ということですね。

実体規定(集団規定)

第3章   都市計画区域等における建築物の敷地、構造、建築設備及び用途

同様にこちらも、第3章のみとなっています。

同じくいくつか見ていきましょう。

・道路等との関係・・・・道路の定義、接道規定、道路内建築制限、壁面線による建築制限

・用途の制限・・・用途地域による建築物の用途制限

・形態の制限等・・・容積率、建ペイ率、高さによる制限

・防火地域、準防火地域・・・防火地域、準防火地域内の建築制限

地区計画・・・地区計画等の区域内における市長村の条例による制限

建築物と道路の関係、用途規制、地域によって制限される建物の高さやボリュームに関わる制限など、街づくりの方針の中で、周辺環境と調和し、無秩序に建築ができないように法律がつくられています。

まとめ

(目的)
第一条 この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。

上記の建築基準法の目的と、先ほどの実体規定の内容を見て下さい。

実体規定の内容が、まさにその内容ではないでしょうか。そして制度規定とはそれを正しく遂行するための制度だと考えることができます。

大枠として建築基準法はこのようなものだと、考えて頂ければと思います。

本日もご一読いただきありがとうございました!!

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